会社の上司に薦められて、遠藤周作「私が・棄てた・女」という軽小説を読んでみた。

どうやら上司は、この主人公と俺を、重ねてみているらしい。

ちょっと酷いなぁ…

物語は、主人公が学生の頃、やりたい一心で、ひっかけた田舎の娘と、やっちまいます。

目的を果たした主人公は、終わった後、娘を棄てます。

しかし、娘は主人公のことが忘れられず、淑やかに想いつづけるのです。

主人公は、社会人になり、社内恋愛でうまく世の中を乗りこなすのです。

一方、棄てられた女は、他人の不幸を、自分の事のように思う癖があり、どんどんと他人の不幸を背負う運命を辿るのです。

主人公は、自分の人生の中で、過去に棄てた女を、時々思い出すのです。

付き合っている女性に手を出せないので、風俗で欲求を満たすのです。

風俗で、棄てた女を知っているという女性から、物語は急転します。

しかし、この主人公が最低な奴で、風俗に金をかけずに、自分を好きでいる過去に棄てた女を、うまく利用すれば、ただで欲求を満たせると企むのです。

そして、過去に棄てた女と再会するのですが…

この主人公、普通なら最後に壮絶な不幸になり、棄てられた女性が救われることで、読む側も丸く収まるのですが、そうじゃないオチで終わります。

虚脱感だけが残る…

男性諸君は、この作品の主人公の様な経験は誰しも通るんじゃないかな。

これも人生だよな。