劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 〈ワルプルギスの廻天〉
過剰なイヌカレー空間と消化不良な結末に困惑した話
『叛逆の物語』から続く物語として待ち望まれていた新作を鑑賞してきた。
率直に言って、全体を通して説明不足が目立ち、初見で状況や意図を整理して呑み込むにはハードルが高すぎる作品だったというのが一番の感想だ。
スタイリッシュでおしゃれな魔法少女たちの戦闘シーンを見せたいという意図は伝わってくるのだが、劇団イヌカレー特有のアヴァンギャルドな世界観が終始画面を覆い尽くしており、観ているだけでかなり疲弊してしまった。そして何より、後味として残る終わり方の気持ち悪さが拭えない。
鑑賞中に引っかかったポイントや展開を整理してみる。
1. 『叛逆』の続きでありながら漂う『マギレコ』感
物語としては『叛逆の物語』で悪魔となった暁美ほむらが再構築した世界のはずなのだが、魔法少女たちは「噂話」や魔獣退治に明け暮れている。『マギアレコード』の設定を想起させる要素が散りばめられており、世界観の接続に少し戸惑いを覚えた。
2. 唐突すぎる「名前の無い先輩」たちの合流
突如として現れる、どこかほむらに似た雰囲気を持つ「名前の無い先輩」と取り巻きたち。本来なら警戒すべき異質な存在のはずだが、巴マミのチームにあっさりと合流していく流れには少々唐突さを感じてしまった。
3. 意図の掴めない戦闘とキャラクターの動線
ほむら組と杏子組に分かれて別々の戦闘が繰り広げられるものの、戦いの最中に呆れて帰ってしまうさやかや、それを連れ戻しに行く渚のくだりなど、キャラクターの行動原理や演出意図が掴みきれず、観ていて困惑する場面が多かった。
4. テルマのインキュベーター信仰と魔女覚醒
テルマがインキュベーターを信仰し、まどかを捕らえて魔女へと覚醒させようとする一連の流れ。狂気的な信仰心と事態の急転直下に振り回される感覚が強かった。
5. まどかの消失と、ほむらの世界の崩壊
巨大化したアルティメットまどかが、ほむらの作り上げた世界を再び「円環の理」へと戻し、結果としてまどかは消失する。 これによって、ほむらがまどかへの執着によって作り上げた世界そのものが失われてしまうことになった。
「魔女システム」の謎と、不気味さを残すラスト
物語の核心として、「魔女システム」を構築した正体が「名前の無い先輩=マルガリーテ=ワルプルギス」であったという長年の謎についての解答は示された。
しかし、そのシステムを手助けしたキュゥべえはといえば、名塚底根へと逃避し、再び新たな魔女システムを構築する気満々で幕を閉じる。何一つ根本的な解決には至っておらず、不穏さと後味の悪さだけが濃密に残る結末だったと思う。
新編以降は蛇足なのか?
見終えて強く感じたのは、やはり「新編(叛逆の物語)以降は蛇足なのではないか」という疑問だ。
ファンとして本当の意味での納得のいく続編を期待していたものの、ここまで来ると、これを本家『魔法少女まどか☆マギカ』のナンバリング・正統タイトルとしてやる必要が果たしてあったのだろうか。
特に、名塚底根を利用したシステムや噂話といった要素を軸にして物語を展開させるのであれば、本編の看板を背負わせるのではなく、『マギアレコード』の枠組みの中でしっかりと決着を付ける形にした方が、作品としても座りが良かったのではないかと思う。
映像のインパクトや挑戦的な演出は凄まじいものの、物語としてのカタルシスや納得感を期待していくと、ただただ置いてけぼりを食らってしまう一作だった。

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