アーティスト・TRUE、そして作詞家・唐沢美帆。二つの名を持ち、アニソンシーンの最前線を走り続ける彼女が放った「セルフカバーLIVE vol.1 -みほのうた-」は、言葉と声が分かちがたく結びついた、あまりにも濃密で贅沢な時間であった。
会場となったEX THEATER ROPPONGIに足を踏み入れた瞬間から、そこには通常のライブとは一味違う、背筋が伸びるような期待感が満ちていた。今回はTRUEとしての楽曲ではなく、彼女が「唐沢美帆」の名で他アーティストへ提供してきた珠玉のナンバーを自ら歌い上げるという、ファンにとっても待望の、そして初めての試みであったからだ。
幕が上がり、清水“カルロス”宥人氏率いる鉄壁のバンドメンバーが音を刻み始めると、会場は一気に「言葉の魔術師」が支配する世界へと塗り替えられた。
特に痺れたのは、作品の世界観を鮮やかに描き出す彼女の作詞センスが、自らの圧倒的な歌唱力によって再定義された瞬間である。『花ざかりWeekend✿』や『深層マーメイド』といったアイドルマスター ミリオンライブ!の名曲たちが、彼女の声を通ることで、キャラクターの心情はそのままに、より大人の色気と深みを帯びて響き渡った。
そして、今回のライブの白眉とも言える圧倒的な瞬間が訪れる。『マクロスΔ』の楽曲、『一度だけの恋なら』や『僕らの戦場』で見せたソロパフォーマンスだ。本来、五人の歌姫が複雑に声を重ね、調和することで完成されるワルキューレの楽曲。それをTRUEがたった一人で背負い、ステージに立つ姿は、単なる「カバー」の域を遥かに超越していた。
イントロが流れた瞬間に会場を突き抜けたどよめきと、その直後に訪れた静かな戦慄。五人分の熱量を一人で引き受け、戦場の緊迫感を孕んだ鋭いブレスから突き抜けるようなハイトーンまで、一音一音に「言葉の生みの親」としての矜持を込めて叩きつける。ソロならではの「凄み」と「孤独な強さ」を吹き込んだその歌声には、ただただ言葉を失い、心臓を鷲掴みにされるような衝撃を覚えた。
会場の空気は、一曲ごとに熱を帯びていった。『スタートライン!』で見せた晴れやかな希望や、『GENESIS』での魂を震わせるロングトーンなど、彼女がいかに多様な感情を言葉に変え、多くのアーティストの翼となってきたかが浮き彫りになっていく。ペンライトの光の海の中で、観客は彼女の才能の底知れなさを再認識し、その一挙手一投足に酔いしれた。
終演後、心地よい余韻に浸りながら感じたのは、唐沢美帆という表現者への底知れないリスペクトだ。提供楽曲という、いわば誰かのために仕立てた「物語」を、これほどまでに自身の魂の歌として昇華させてしまう。その稀代の才能に、私たちはただ魅了されるほかはなかった。
「みほのうた」はまだ始まったばかりだ。彼女の手の中には、私たちが愛してやまない名曲がまだまだ無数に眠っている。vol.1というこの記念すべき第一歩を共に踏み出せた幸せを噛み締めながら、早くも次なる「vol.2」で彼女がどんな魔法をかけてくれるのか、期待に胸を膨らませずにはいられない。

Finally / リシア・プレイド (CV.花澤香菜)
Wither / EIKO (CV.芹澤優)
イプシロン進化論 / Adhara
赤い果実 / JUNNA
花ざかりWeekend✿ / 4 Luxury
深層マーメイド / 伊吹翼(CV.Machico)×我那覇響(CV.沼倉愛美)
サヨナラまた...。 / 菅原紗由理
スタートライン! / せな・りえ from AIKATSU☆STARS!
Step Up! / 水瀬いのり
GENESIS / 藍井エイル
閃光のPRISONER / 南里侑香
一度だけの恋なら / ワルキューレ
僕らの戦場 / ワルキューレ
Crossing! / 765 MILLION ALLSTARS